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妊娠初期に超音波検査で、子宮の中に赤ちゃんの袋(胎嚢)や、小さな赤ちゃん(胎芽といいます)が見える時期に少量の出血を起こすことは、約30%の妊婦さんが経験することといわれています。この時期、胎盤をつくる絨毛という赤ちゃん側の細胞が盛んに細胞分裂をして子宮の内膜に侵入し、その絨毛細胞が子宮内膜にあるお母さんの血管を破って侵入を続けることで、赤ちゃんは、お母さんからの栄養供給を受けることが可能になるといわれています。 妊娠初期の出血は、このような時期の子宮内膜の血管の破錠によって起こると考えられており、出血が流産を惹き起こすことは稀なことと考えられています。事実、この時期に出血した妊婦さんと出血しなかった妊婦さんを比較しても流産する確率は変わらないという研究もあります。 しかしながら、妊娠初期には流産が多いということは事実で、全妊娠の15%位が流産します。流産の原因はその98%以上が胎児側の原因によって起こり、そのうちの70%程度に染色体の異常を認め、また、赤ちゃんの先天的な形態異常も多く観察されるといわれています。このことは特別なことではなく、全妊娠の15%という頻度で誰にでも起こることです。これらの胎児異常の殆どは精子と卵子が受精した時点で決まることで、現代の医療をもってしてもそれを治療することは不可能です。流産に伴う出血は通常、子宮の中で赤ちゃんが亡くなった後、少し時間をおいて起こってくることが多く、出血が先行することはまれです。 切迫流産という病名があり、これは妊娠初期に出血・下腹痛がある場合に使用されます。しかし、受精卵に異常があって流産する妊娠に子宮収縮抑制剤や止血剤などを使用しても流産が予防できるものではないことは既に述べたとおりです。 大切なことは、出血の有無にかかわらず胎芽が正常に発育しているか、逆に最初から異常があって流産に至る前の状態なのかを正しく診断することです。胎芽が正常に発育していれば、例え少量の出血があっても妊娠初期に流産することは殆どありません。器官形成期といわれる赤ちゃんにとって最も重要な時期にむやみに薬剤を使用することは逆に赤ちゃんにとって不利益になる可能性もあります。 当院では、以上のような理由で妊娠初期の少量の出血や軽い下腹部痛に対しては、自然の経過を観察し、胎芽が正常に発育しているかどうかを見守ることにしています(御自宅での安静)。ただし、症状が強い場合は、入院での安静をお勧めする場合もあります。 まれに、出血した血液の一部が子宮内に貯った状態(絨毛膜下血腫といいます)になることがあり、この貯留した血液の量が多いときには後に流産(後期流産)の原因になることがあり、入院をお勧めします。 また、出血が月経時より多い場合には流産が始まっていて手術(子宮内容除去術)が必要な事もあります。子宮外妊娠などリスクの高い妊娠もありますので、下腹部痛が強い場合には外来受診して頂く必要があります。 ※このコラムについてのお問い合わせはお受けしておりません。 御来院のうえ、診察をお受け下さい。 |
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